”モーツアルトのピアノソナタ効果”というものを聞いたことがあるでしょうか?
これは、1993年に心理学者フランシス・ラウシャーらが”ネイチャー”に発表したものです。この論文においてラウシャーらは、モーツァルトの”2台のピアノのためのソナタ ニ長調448”を学生に聞かせたところ、知能検査の空間認識テストで高い成績になり、この効果は音楽を聴いて10分から15分程度だけ見られる限定的なものであることを報告したのでした。この効果は”モーツァルト効果”と名づけられました。
これだけ聞くと、「頭がよくなるならモーツアルトでもなんでも聞くぞ。」という方も多いかもしれませんが、そんなに甘いことは世の中にはありません。肯定意見も否定意見も両方あります。
1998年にラウシャーらはネズミを用いたT字型迷路試験 (T-maze) を行い、”2台のピアノのためのソナタ”を聞かせたネズミは他の曲を聞かせたネズミよりも早く迷路を抜け出すことを見出し、モーツァルトの楽曲は脳を直接刺激していると結論しました。一方で、ラウシャーらの結果は単に音刺激によって脳が覚醒、あるいは心的状態が変化したためとする反論も多くあります。1999年には、ハーバード大学のクリストファー・チャビスによって、モーツァルト効果はモーツァルトの楽曲以外でも生じることが、またアパラチア州立大学のケネス・スティールらによって1993年のラウシャーらの結果は再現できないことがネイチャー誌上で報告されています。
なほ、本家ドイツ教育省は様々な分野の研究者を集めて検討をすすめ、2007年に”モーツァルト効果は存在しない”と結論づけた研究結果を発表しました。信じる者は、救われるレベルのものですかね?
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