記憶の分類

”四当五落”なんて言葉がありました。

受験生向けのことばで、4時間睡眠なら合格、5時間寝ているようだと落ちるということです。

要するに、「寝る間を惜しんで勉強しないと合格できないぞ。」ということです。

でも、今ではそんなこと言いません。

代わりに言うのは、「睡眠は大切。」

最近の研究によると、睡眠中の脳で記憶する物の選別の選択が行われているとのことです。

記憶は睡眠中に脳に固定されて後で取り出せるようになります。さらに、睡眠中の記憶の選択のおかげで、覚醒中の洞察力が生まれ、推論が可能になり、抽象的な思考が促進されるということです。

米インディアナ州にあるノートルダム大学の認知神経科学者ジェシカ・ペイン氏は、「睡眠中の脳は決して“愚か者”ではない。インプットされた情報を片端から記憶として固定するわけではなく、何を覚えておくか、何を忘れるか“計算”している」といっています。

「例えば、細かいところまでしっかり記憶として残るのは、感情に訴える要素だ」。ペイン氏の研究チームは、被験者に対し、前景側に大破した車、背景側にヤシの木が並んでいる場面を見せる実験を行いました。車を覚えていてもヤシの木は忘れてしまう人が多く、特に一晩眠った後はこの傾向が顕著だったそうです。

脳は場面全体を記憶に残そうとするのではなく、最も感情に訴える要素、つまり最も重要と思われる要素だけを記憶するよう場面を再構築していると考えられるそうです。脳の活動を測定した結果でも同じ様なデータがあります。脳の中で感情や記憶固定に関係する場所は、起きているときよりも寝ている時の方が活発に活動しているのだと。

「感情に関わる情報を選択記憶するという働きには意味がある。私たちの祖先にとって、ヘビの居場所の記憶は生死に関わるし、部族内に著しく卑劣な者がいたら、覚えて避けようとしただろう」とペイン氏は言っています。「記憶という機能は、単に過去を覚えておくためというよりは、さまざまな可能性のある未来を事前に予測するために存在するのだ」。

ハーバード・メディカルスクールの認知神経科学者ロバート・スティックゴールド氏は、「賢さにつながる記憶の選択が行われるのは、夢を見るレム睡眠なのか、もっと深い眠りのノンレム睡眠(徐波睡眠)なのか?いずれにせよ睡眠中は、記憶の固定・強化だけでなくはるかに複雑な働きが行われている。睡眠時の記憶の処理方法は、非常に賢いものなのだ」。

Current Directions in Psychological Science誌の2010年10月号より

ちなみに、睡眠は90分の単位でとるのが効果的だそうです。受験生なら6時間か7.5時間でしょうか。脳の働きをさらに生かすには、寝る直前には暗記系の学習をお勧めします。直前に学習した内容は、覚えやすいし睡眠中は他の情報が入ってこないの記憶の優先順位が高いからです。

さらに、10分ぐらいの昼寝は午後の活動に大変効果的だそうです。昼食後にいすに座ったままで10分仮眠を取ると生産性がUPするみたいです。

ぜひ、おためしを。

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